太田肇氏の『「見せかけの勤勉」の正体』は、鋭い指摘に満ちたビジネス書でお勧めです。ただし日本的会社人間をふるいにかけてしまう刺激的な一冊ですので、ある意味で劇薬ではあります。ポイントをいくつか抜き出して紹介します。

 ・頑張った者が報われる

 日本的会社文化の中には、頑張った者が報われる、という思い込みがあります。しかしこれは、額に汗して働かないと評価されない、と同義であり、効率化して楽をしたものは排除されることになり、新しい仕組み作りはいつまでたっても出てこないことになります。すなわちやる気は仕事の川上のポイントしか見ません。しかし欧米の方式だとやる気を川下で見る、すなわち結果に結びつく行動に直結しています。

 ・マネージャーは管理対象は

 マネージャーは「人」ではなく「仕事」の管理をする者です。仕事の範囲を超えてしまってはそれは統制とか監視になります。また管理は8分目で停めないと部下の士気を削ぎ、やらされ感だけが残ります。

 ・評価基準が不明確

 評価基準が不明確だと優秀な個人が評価されることがなく、お互いに出し抜かないように牽制さながらの行動するので、目立つ個人が貶められる結果になります。これは共通した敵を作ることで同質的な結合を強めるからです。

 ・終わりのないマラソン

 仕事を終わりのないマラソンになぞらえ、原因や理由の分析抜きに、あるいは報酬を抜きに「やる気」だけを鼓舞するやり方は、見せかけのやる気にしかならず、馬鹿馬鹿しい熱意のアピール合戦に陥ります。本質的なことや目に見えないことはしない、だからどれだけ顧客の役に立つかの視点からものを考えることができません。大きな声で職場の挨拶はしますが、そのやる気が社内で完結してしまって、いつまでも顧客へのサービス向上につながりません。

 ・過剰な管理

 管理を強化すれば高価はすぐ現れますが、逆に弊害が目に見えない形でゆっくりと進行します。その効き目はまさしくボディーブローのようで、所属員のやる気を削いでいきます。過剰管理をする企業は、製品・サービスが陳腐化して消えるはずなのですが、大企業や寡占市場では決して淘汰されることがありません。したがって管理のエスカレートが進み、人を減点方式で管理ミスだけを評価するのでますます士気が低下します。とはいえ大企業は給与がいいので嫌気がさしても自分から辞める人はいません。問題点が表面化しない訳です。

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